ずっとずっと待っていた
雨上がりの春の日に
閉じた傘を持ち
白いかばんを肩に掛け
そんなときに
二つの瞳と目が合った
きいろい小さい遠くの目
見つめ続けて3秒間
そいつはトコトコやってきた
わぁ黒猫――!!
嬉しくなったのはつかの間
だって私、食料なんて持ってないもの
そいつは私の周りをくるくるまわる
物欲しそうににゃぁんと鳴いて
ジーパンのまわりをすりすりなでる
私がひょいと横にそれると
そいつも同じく横にそれ
私がダダダと走り出すと
同じくダダダと駆けてくる
どうしよう・・・・
困っちゃう
お願いだから鳴かないで
私は何も持ってない
通り過ぎる人が横目でチラチラ見てくる
(ええ、いいですかこれは断じて私の猫ではないのです
いきなりノラの分際で私に今日の生きる糧を求めにやってきて
無謀にも私のごきげんをとろうとしているのですよ
みすみすあんたの策略になんかはまってやるもんですか)
などと自分に言い聞かせてみるのだけれど・・・
―――うう・・・・
決心した
私は猫を抱き上げて
バス停を出て
家の前・・・・前に行って・・――
行って・・・?
どうしよう。家じゃ買えない。
ここはマンション
ペット禁止。
私は仕方なく猫を地面に下ろし
一目散にバス停へ向かい
発車スレスレのバスに乗った。
私はそれから猫に出会ってない。
でも時々バス停を通るたび
あの黒い姿が見えないかどうか
必死に目でまわりを追っている









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